帰宅困難になったら無理に帰ろうとしない

帰宅困難になったら無理に帰ろうとしない

時速4kmは平常な時に歩く速度です。
瓦礫(がれき)やほこりをかき分けながら歩く家までの道のりは
いつもよりずっと遠いはずです。

東日本大震災の時に、交通が麻痺した東京都では
約352万人の帰宅者が車道まで溢れて、消防車等の緊急車両の通行を妨げました。

もし、東京が直撃を受けたら
道路には瓦礫が散乱して車の通行が不可能になる可能性もあります。

橋も損傷を受けて、殺到する群衆で崩落する危険もあります。

停電中の真っ暗な夜道を歩く場合は
落下物の危険も覚悟しなければいけません。

徒歩での帰宅は危険が沢山あります。

2013年4月1日より施行された東京都帰宅困難者対策条例で
災害時には

「むやみに移動しない」

と一斉に帰宅を抑制しています。

事業者には従業員3日分の食料、
水の備蓄を義務付けています。

職場や外出先で待機する、帰らないという選択もあります。

ふだんから家族との連絡手段を決めて
あらかじめ準備しておくことが大切です。

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被災地を歩いて帰宅する場合には
いつもと違う危険が潜んでいると考えておきましょう。

まず、道路にはガラスや看板などが散乱しています。

靴は出来るだけ厚底のスニーカーが安全です。
被災地では、粉塵やほこりで息が出来ない場合もありますので
マスクはかかせません。

瓦礫やガラスが散乱している被災地現場では
ヘルメットや帽子、丈夫な手袋はかかせません。

服装は例え夏でも素肌を露出しない
長袖の上着、パンツを用意するようにしてください。

飲料水などの重たい荷物はリュックなどに入れて
できるだけ両手はあけておけるようにしておきましょう。

手があいていれば、お年寄りや子供の手をひくこともできます。

しかし、災害が起きた街は停電で真っ暗になる可能性が高いので
夜間の外出は控えるようにしましょう。

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首都圏直下型地震が発生した場合、
中央防災会議は約650万人が帰宅困難者となると予想しています。

帰宅困難者とは勤務先から自宅までの
距離が10km以上の人のことをさします。

10km未満でも、帰宅路途中にはガラスや瓦礫などがあり
帰宅が困難になる可能性もあります。

距離だけで帰宅できるか否かを判断するのは
早計といえるかもしれないが
余震の危険も予想して、無理して帰るのはやめておきましょう。

どうしても歩いて帰る場合は
自宅までの最短で安全なルートをあらかじめ地図で確認しておきます。

携帯電話のマップ機能で歩きながら
確認する手段もありますが
電池が消耗して、大切な電話やメールを受け取れなくなってしまう可能性も。

実際に歩くルートを記入した紙の地図を用意するようにしてください。

震災マップも市販されていますが
細かい字で書かれていると、
震災直後の暗い中では見えにくいこともありますので
できれば自分で避難マップを作成して
家族で共有するようにしましょう。

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東京都では、徒歩による帰宅者に対する支援の一環として
都立学校や公共施設を「帰宅支援ステーション」と位置づけて
飲水やトイレを提供したり、テレビやラジオからの
情報収集が出来るように整備しています。

都の施設以外にも、コンビニエンスストアやガソリンスタンド、
ファミリーレストランなど、帰宅支援ステーションに
指定されているところがいくつも存在します。

帰宅ルートのどこに支援施設があるのかを記入して
自分用の帰宅支援マップを作成しておくと
いざという時に役立つでしょう。

災害時に初めてそのルートを歩くのは不安が残りますので
できれば、平常時に会社から家まで
一度歩いてみてください。

災害時とはかかる時間や疲労度も倍違うと意識して
自分用帰宅支援マップが本当に役立つかを確認しておいてください。

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帰宅支援対象道路とは、災害字に徒歩で帰宅する人を対象に
水道水、トイレ、情報などを提供する帰宅支援ステーションを
配置した道路のことです。

都心から郊外へ向かう主な幹線道路が含まれています。

帰宅支援ステーションには
おもなコンビニエンスストア、ファミリーレストランチェーン
ファーストフードチェーン、ガソリンスタンドが参加しています。

2年前からは首都圏のカラオケボックス600店舗以上も
支援に名乗りをあげています。

また、東京都は全都立学校と東京武道館を
災害時帰宅支援ステーションに指定しています。

神奈川県は日産自動車系販売店と帰宅支援の協定を結んでいます。

帰宅支援の輪はどんどん広がっているのです。